南無大師遍照金剛

白秋苑の合同供養会後から葬儀や宗派の急ぎの用件などなど・・・目まぐるしく時間が過ぎました。

不安定な陽気もあるのか、長年ご詠歌をお唱えいただいた同信の方との別れもありました。四国八十八箇所霊場も、西国三十三番観音霊場も、高野山も長谷寺も、たくさんのお参りを共にし、仏縁を積んでいただきました。

お坊さんは、亡き人に御戒名をつけさせていただきます。一字一字に想いを込めておつけをしますが、多くの戒名をつけるため、すべての御戒名を正確に暗記することまでは難しいです。

しかし、この度お亡くなりになった同信のご主人の御戒名だけは完全に覚えているんです。

四国でも西国でも、宿坊に泊まると、多くは夕飯時に明朝のお勤めでのご供養やご祈願のご案内があります。もちろん自由ですから、申し込む人もそうでない人もいるのですが、このお方はどこへ行っても必ず亡きご主人のご供養と、子供や孫達の安全を祈って申込みをしました。

その度に私のところに来て「方丈さま、方丈さま、うちの人の戒名は何でしたっけ?ここへ書いてください」と言って申込み書に書かせるのです(笑)

ですからその方のご主人の御戒名は完全に覚えてしまい、だされた申込み書に何の迷いもなく、その場で書いてしまうので、宿坊に勤める若いお坊さんには「檀家さんの御戒名、どのように覚えるのですか?」と、よく驚かれました。それほどにご供養をなさったのです。

棺には四国、西国を共に回った金剛杖、ご朱印で真っ赤になった笈摺が入れられ、長年お唱えしたご詠歌が葬儀、出棺時に唱えられ、最後に棺に花を入れてさしあげると、にこやかに微笑んでおりました。

普段は遠く離れて暮らすお子さんやお孫さん達には、その話を伝えました。きっと何かを感じてくれたのではないかと思います。故人に報いるために、強く、たくましく歩んで欲しいと願います。

南無大師遍照金剛

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