立冬~戸たての薬師さま
昨日の立冬は穏やかな晴天に恵まれ、ご詠歌の講員さんに集まっていただいて戸たての薬師様の御護摩法要を厳修しました。以前は19時くらいから法要を執り行っていましたが、皆さん高齢になり夜に集まるのが難しく、数年前から日中に行っております。
江戸時代後期のお寺周辺を記した地図には、浦佐城跡に「薬師堂」があったと記録されています。今ではお堂の形跡はまったくなく、祠があるのみ。雪深い浦佐ですから、おそらく簡素なお堂があったのだと思われます。
5月には薬師如来を背負ってお堂に祀り、11月には雪降り前にお堂の雪囲いをしたのが「戸たて」ということで、薬師如来さまを麓に降ろしてきたのだと思います。
お堂のない現在、5月には信者さんから薬師如来さまを背負ってあげてもらい、仏像自体はその日におろしますが、薬師様が山頂へ上がって浦佐の住民の健康を守ってもらう「山頂祭」を行い、11月8日には仏像はありませんが、薬師様の祠前で読経を行い、「どうぞお山をお下りください」と手を合わせてきます。
長年11月7日の晩に薬師様の御護摩法要が行われていた訳ですが、あくまで私の推測ですが、11月7日の日中に浦佐城跡・薬師堂の雪囲いを行い、5月に上がった薬師様を麓に降ろし、夕方から千手院で法要を行い、宴席を囲んで食事をいただき、8日お昼くらいまで薬師様をご開帳していたのではないかと思います。十分な食事にありつけることが少ない時代、地域住民には何よりの楽しみがそこにあったのだと思います。
天気予報を見ながら、今日は午前中に浦佐城跡に登り、薬師様の祠前で読経を行い「どうぞ山をお下りください」と手を合わせてきました。読経中、何の鳥かは分かりませんが、近くの木に止まり、ずっとさえずってくれていました。
読経が終わり、祠前のヤマツツジの雪囲いをし、薬師様の近くに祀られている稲荷様の掃除をして下山。
薬師様の祠前の枯れたワラビを少し刈り取ってきました。里芋と一緒にしておくと里芋が腐らず随分と長持ちしてくれるのです。相性が良いのですね。
紅葉も終盤に入り、うす曇りでしたが、とっても綺麗でした。これで晴れて陽が差していたらどれほど見事だったでしょう・・・。
薬師様と下山し、少し経ったら雨が降り始めました。午後はずっと冷たい雨模様、紅葉もずいぶんと葉が落ちたことでしょう。こうやって徐々に秋が深まり冬に近づきます。
薬師様、本当にありがとうございます。