コックリさん

本堂内の心配事を聞くお部屋には、千手院の薬師稲荷大明神さまとお大師さま、水子供養のお地蔵さまを祀っています。お大師さま(弘法大師像)は、千手院の南側にあった大師庵(現在はありません)に祀られていたお像です。

私が10代後半、20歳になった頃だったか、12月になると本堂の大掃除を行い、この薬師稲荷大明神さまも、お飾りを外に出し、おキツネさまも全部拭いて綺麗にします。その時に稲荷様奥にあった黒くすすけた布と箸を三本束ねたものがでてきました。

そこには「いろはにほへと・・・」の文字と色々な記号のようなものが書かれていて、「もしかしてコックリさん?」と直感で感じました。私が中学生の時にずいぶんと流行り、学校でもしている同級生がいたのを思い出しました。

後日、先々代の老僧に「これは何ですか?」と質問をしました。

「それを持って、ちょっと来なさい」と言われ、礼の間というお部屋に老僧と私の2人になりました。老僧はいろはにほへとが書かれた布を広げ、箸を立てて私にそれを持つように言いました。

老僧が色々な質問をすると、それに答えるように箸がゆっくり、ゆっくりと動いて文字を指し示しました。その内容はここに綴ることは差し控えますが、最後に老僧は「なに神さまでいらっしゃいますか?」と聞きました。

箸は「とよかわいなりだいみょうじん」と動きました。

老僧から、昔からこのようなことは行われてきたんだよ、コックリさんとは基本的には稲荷様がいらっしゃるんだ。けれど気をつけなさい。稲荷様は大きな御利益をくださると同時に、怒ると大変怖いのだぞ・・・と話ました。

その時、若い私は「ふ~ん」という程度にしか感じることができませんでした。

それから数日後、薬師稲荷大明神さまに毎朝お供えする湯飲み茶碗、正面には如意輪観音さまと般若心経が画かれているのですが、裏に文字が書かれていることにふっと気がつき見てみると「豊川稲荷大明神」と書いてあったのです。

思わず鳥肌が立ったことをよ~く覚えています。

宗教、音楽、教育、医療、政治、経済、どの世界においても「鳥肌が立つ」ような経験、出逢い、感動を一度でも味わうと、人の心というのは大きく変化するものだと思います。

老僧ような境地にはとてもたどり着けないかも知れませんが、そのような人間、僧侶になれるよう精進いたします!

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